"ガラー"



夕日が教室の中を染め、もう誰も居ないはずの教室に俺は入った。



「・・・・・!」



誰か、居る。




俺の隣の机で寝ている女子を起こさないように、自分の机に近付いた。



鞄を取り、ふと寝ている女子を見た時、心臓が波をうった。




「・・・・・・・・凛」




何で凛がこんな所に居るんだ。




机に寝ている凛は、起きる気配がない。



俺は本能のまま、自分の机に座り、頬杖をついて凛を眺めた。



最後に会ったのは、小学校6年の卒業式前日。


あれから5年が経って、凛も俺も高校生になった。




「キレイになったな、凛」



サラサラの髪質は変わらなくて、肩までだった髪が背中まで伸びてる。



相変わらず綺麗な栗色。



教室に入ってきた夕方の風が凛の髪を揺らす。



すごくいい匂いがする。


それも昔から変わってない。



無意識に俺は、凛の髪に手を伸ばしていた。



「・・・・ン・・・い・・ち」



伸びた手を髪に触れる寸前で止めた。