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「・・・そっか、凛と塁の過去にそんな事が」


私達の話しを聞いて、茜が最初に言った言葉だった。



「うん・・・」


「なんとなくその"壱"って人の話しは聞いていたけど、詳しく聞いたのは初めてだな」


新が静かに呟いた。




高校一年生の時、一度だけ"壱"の話しを茜達にした事がある。



だけど、ただ幼馴染みだった事と、私が想いを寄せてた初恋の人だった。


としか説明しなかった。




ここまで細かく話したのは、これが初めて。




私は出来れば、話したくはなかった。


皆は優しいから、きっと心配する。


壱が居なくなった時から、私をずっと元気づけてくれた塁にも、迷惑ばっかりかけてきた。





私が泣けば何時間でも付き合ってくれた。


私が心配だからって同じ高校を受験してくれた。




だから私は、塁が居なければ今頃・・・いったいどうしてただろう。