そう思ったとき、壱の優しい手のひらが、私の頭を優しくなでる。
「……気づいた?ちゃんと」
私は泣きそうになるのを抑え、首を縦におろした。
「よし!なら行こう!塁にとこ」
「え?」
「塁気遣って、今日バスケ部の練習試合なのに言わなかったんだよ。わざわざ凛とのデートもこの日にしてくれって言われてさ」
「そうなの?」
「かっこつけちゃってさ」
「塁らしいね」
私たちは残りのパンケーキを食べて、会計を済ませた。
試合会場までは少し距離があって、バス停でバスを待つ。
塁の試合。
はやくみたいな。
そして、お疲れ様って……早く自分の気持ちを伝えたい。
塁のことが……。
~♪~♪
「ん?茜?……はいもしもし!」
「凛!?……落ち着いて聞いてね」
「どうしたの?茜?」
---塁の乗ったバスが横転して、さっき塁が病院に運ばれた。
---え…。
---意識、ないみたい。
ガシャン!
「凛?」
その後のことは覚えてない。
ただ壱が私の名前をずっと呼んでたことはわかる。
けど私の中では、壱に逢えなくなった時の感情が大きく波を打った。
心臓が張り裂けそうだ。
今、塁への気持ち気づいたのに。
遅かったの?
神様が怒っちゃったの?
ねぇ神様?
私の声をもう一度聞いてください。
どうかもうこれ以上…わたしの前から大切な人を奪わないで。



