-塁 side-
「そろそろ戻るか?」
「…うん」
別に期待してるわけじゃない。
俺は、こいつの寂しさや悲しさを埋めたいだけ。
それだけの存在でもいい。
だけど、俺が最後に抱きしめた後、拒まなかった。
それは、お前の中で少しは俺を受け止めたって思っていいのか。凛。
「茜達も教室で待ってる」
「そうなんだ。茜達の前では明るくしなきゃね!塁のおかげで、少しは楽になったし」
「ならよかった」
「まだ17歳だし、まだまだこれからだし、人生楽しく生きなきゃね!」
「なんだよ急に」
「笑わないでよ!ただ、本当にそう思っただけ」
本当に泣いて楽になったのか、凛は少し明るくなっていた。
俺たちは教室に向かう途中、他愛もない話をした。
久しぶりにこんな普通の会話をした気がした。
もうこれで、時が元通りに動いてくれることをただただ願うだけだ。



