-壱 side-




小刻みに震える凛の身体。


泣いているのか。



「凛に逢えて、本当に良かった」


「私も、壱に逢えて本当に良かった。壱、幸せになってね」




微かに震える声。


凛が泣くと、「本当にこれで良かったのか」と、思ったりもする。


だけど、このまま俺が、「まだ好きだ」と気持ちを伝えても、一緒にいれるわけじゃないし、凛には絶対幸せになってほしいから、仕方ないのかもしれない。




俺は、凛の震える身体を更に強く抱き締めた。