"ギィ-" 屋上のドアを、ゆっくり開ける。 フェンスから、グランウンド側を見る壱の後ろ姿が見える。 私は、その背中に一歩一歩近づく。 壱は私に気付いたのか、ゆっくりとこちらに振りかえる。 「ご、ごめん!遅れちゃった」 「ううん。大丈夫」 優しい顔。 壱の顔。 私が、5年間求め続けていた顔。 私は壱と距離をあけ、フェンスにもたれかかった。