「では皆さん明日は――――」



教室では、先生が帰りの挨拶をしている。


私はこの後、壱の全てを聞かされる。


壱本人から。



今まで壱に何があったのか、壱は今まで、どんな生活をしてきたのか。


知りたくないようで、知りたい。



私は壱を見つめながら、そう思っていた。


その時、壱と目があった。


私は、とっさに目を逸らしてしまった。



何故だかは、わからない。




「では、また明日!」



ザワザワザワ



先生の挨拶が終わり、皆が帰り支度をする。


壱が私の方に向かって歩いてくる。


私の席で止まり、微かな声で「屋上で、待ってるから」と聞こえた。


そう言って壱は、すぐ教室を出た。