-凛 side-




結局、眠れなかった。




「おはよう」


「凛、どうしたのその顔?寝てないの?」



お母さんが心配して、私の顔を覗きこむ。



「朝ごはんいらない」


「ちょっと凛!?」



そんなお母さんをよそに、私は洗面台へ向かった。




自分の顔を鏡で見ても、本当に不細工。


涙の跡、目の下には少しクマが。


お母さんが変に思うのは当たり前。




壱。

塁。




私の頭の中に、2人の顔がずっと交互に映る。




「ハァ……」




私は朝ごはんを食べず、いつもより1時間早く家を出た。



少し一人になりたかったから。