「何だよ塁」
5年ぶりに見る2人の姿が、こんな形でだなんて、現実って残酷だと思った。
「婚約者ってどういう事だよ」
「言葉のままだよ塁。俺は、若菜と結婚するんだ」
「じゃ、凛はどうすんだよ!こいつ、5年もお前待ってたんだぞ?」
「……だから、それが重いって……」
「お前本気で言ってんのか?」
「本気だよ。……だいたい、あれって小学校の時の約束だろ?ただの子供の遊びじゃないか。それを本気にして……(ゴンッ)ッ!!」
「きゃぁ!」
「塁!」
初めて見た。
塁があんなに怒る姿。
――――塁が、壱を殴ってしまった。
鈍い音がした後、壱は地面に倒れた。
その上から塁が跨り、壱の胸倉を掴んで叫んだ。
「ざけんなよ!凛がどんな想いでお前を待ってたわかんのか!?お前この5年、凛の気持ち考えた事あるのかよ!急に居なくなって、偉そうな事言ってんじゃねーよ!ガキの遊びだ?凛の気持ち、弄ぶんじゃねーよ!」
「ハァ……だったら、お前が幸せにしてやればいいだろ」
その瞬間、塁が思い切り拳を振り上げた。
「やめて塁!」
もういいよ。
塁の手が、止まった。



