-壱 side-




"その人の事まだ好きなの"


"その人がいいならまた一緒に居たい"




「やめてよ」



凛が俺を、まだここまで想ってくれている。


これ以上、そんな言葉を口に出されたら俺は、何をするか分からない。


凛を抱き締めて、「凛を忘れた事は一日もない」って言いたかった。



だけどそれは出来ない。

出来ないんだ。



俺は、嫌われ者で十分だ。



だからわざと、冷たい言葉を口にした。



タイミング良く、塁が来た。




塁の俺を見る目は、あの頃とは違う。

ライバルのような目だった。




―――――凛、塁と幸せになってくれ。