僕が小学生のときに考えていたこと。

当時、僕の住んでいた市にはデパートが一軒あった。
けして大きいとは言えないが、一般的な日用品ならそこで手に入るような町の中心的なデパートだった。

名前を「えじまや」と言ったかな?
当時の僕はスパゲティも巧く発音できない少年だったから、このデパートの名前も「えじまや」ではなく「えじやま」と発音していた。
その発音をよく父にからかわれていたことを覚えている。

それはそのデパートに母に連れられて洋服を買いに行ったときのこと。
授業参観のためにはずかしくない洋服を買いに来ていた。

母は僕に「授業参観のためにはずかしくない洋服を選びなさい」と言い残し、僕を残してどこか別のフロアに行った。

残された僕はひとり洋服売り場にいた。
僕は好きな洋服を選べるのだが、どれひとつとして気に入る洋服がなかった。

僕はその場で頭を抱えてしまった。

それはなぜか?

ひとつ目は、同じプリントの同じ服がたくさんあること。
ふたつ目は、140、150~SMLで同じ服で整列していること。

僕はサイズが違うだけでこの市の男子はみんなこのトレーナーを着るんだと思った。
もし同じ服を着ているひとと学校でゲームセンターで鉢合わせしたら恥ずかしいことだと思った。