丸腰デパート・イケメン保安課

「どうして貢さんが出るんですか!」

有り得ない!

「さあ?でも出たんだから仕方ないだろう!」
仕方ないって…考える努力をしろよっ!!

「ちなみに、もうすぐここに着くらしい」

エ?貢さんが?


――バタアァ―ン!

嘘だろ?と考える瞬間も無いまま、入口のドアが勢いよく開いた。

現れたのは―…。

「貢さんっ?!」

走ってきたのか、貢さんは呼吸で肩を弾ませ立っていた。
私の前にいる男の子を見るや否や、アメフトのタックル同等の勢いで突っ込んできた。

「千太郎――――!!」
せんたろう――ッ?!
「貢――――!!」
みつぐ――ッ?!

呆然とする私の目の前で、貢さんと男の子は抱き合っている。
―…どういう事?

「…貢さん?」
「ああ、桜田さん…お早うございます」
いや…普通に挨拶されても。

「その子供が貢の子供だった訳か」
家紋さんが納得した様にうなづいている。

貢さんの子供?!

「…家紋さん?どういう事?」
「貢には子供がいるんですよ?20歳の時に、五歳年上のピアノ教師とできちゃった婚で」

………………。

「はあっ?!」

「母親の話で、もしや?とは思いましたが」
「話が少し違ってたしな!」