主任は、目を見開いて私から後退り…。

何?
心眼持ってない人は、そういう目で見られる存在?


「心眼が装備されていないとは…」
「びっくりしたぁ…トイレに入ったら紙が無いってくらいに」

ショックだったって意味?

「どういう事なんだ!綾美?!」
どういう事と言われても!!

大体心眼って何!!

「仕方が無い…」
主任は思い詰めた表情で、スーツの内ポケットからドルガバの財布を取り出した。

ああ、普通に人が使える財布を持ってるんだ?
主任にしては以外。
貯金箱を持ち歩く人かと思った。

そして、私の手の中に握らされたのは…諭吉が二枚?!

「スポーツ用品売場で買ってこい」
「売ってんのかよっ?!」

しかもスポーツ用品!

「って言うか!結構ですからっ!」
はいどうもって受け取れるか!

「足りないかな?では…」
アメックスのゴールドカード?!

「…主任…そう簡単に他人にカードを預けるのはどうかと思いますよ?」
心眼以前の問題だよ?

「綾美は他人ではないだろう!」

へ?
いや…他人じゃないの、どう考えても。
家族じゃないし。

「いずれ俺の嫁になる…」
「ならないってっ!」

まだ言ってんのかよ!