保安課を飛び出し、地下倉庫に出る。

通路の先、歩いてく主任の背中…。


「主任!!」

主任は振り向いた。

走り寄る私を見て、驚いた様に開く瞳。

「何だ?」

……何だと聞かれると…更に悩む。

「ああ、綾美の土産リクエスト、まだ聞いていなかったか?」
へ?土産?
「空輸で送るが何がいいんだ?」
「お土産なんかいらないよっ!」

ボケないでよ!こんな時にまで!

主任は眉を跳ね上げる。
「土産いらないのか」
「……えっと…」
ちょっと欲しいけど…。

じゃなくて!!


「主任、あのね…」
息を整えた私は、目の前の主任を見上げた。

「どうしたんだ?」
「うん…あの……主任、保安課に………」


戻って来て欲しい。


「………」


言いかけて止めた。

言っていいのか、一瞬考えてしまったんだ。

主任は、保安課を存続させる為に会長の指示に従った。
それは、私の為なんだろうと思う。

主任は、私の為とは言わない。
何があっても言わないよ。

それが主任の優しさだから……。


ううん…主任は…本当に私を好きでいてくれてるからなんだ。

だから、こんな事までしちゃうんだよ。


馬鹿だよ……主任…。