なのに…居ないのは嫌だ。

主任は保安課にいなくちゃダメなんだよ。
ここが主任の居場所なのに、何でアメリカなの?


「何か、主任が居ないと静かすぎるよね」

みんなでお茶菓子の栗きんとんを食べてる最中、貢さんがポツリと呟いた。

「東一人が居ないだけなのにな」
「オフィスって、こんなに広かったかなぁって思うんすよ」
「笙一人で場所取っていたから」
「主任が居なくなって四日は過ぎてるのに、全然慣れないよね」

本当だよ……。

主任一人居ないだけで、こんなに静かなんだ。


「明日だな、東がアメリカに発つのは」

昴さんの言葉に、みんなはしんみりとため息。

明日、主任はアメリカに行くんだ。


「何で…主任がアメリカ行かなきゃいけないの…」

何で主任なの?
違う人じゃダメなの?
他の人でもいいじゃん!

「笙のアメリカ行き、理由があるんです」

家紋さんの言葉に、みんな顔を上げた。

アメリカ行きの理由?

話すかどうか迷ったと、家紋さんは語り出した。


「会長は前から、笙に会社の専務取締役の役職を迫っていた」

……そうなの?

「笙は嫌だと断っていましたが。重役にはならないと」

…主任らしい。