一月七日。


今年の保安課始動から四日。


栗田さんはゲームをし、貢さんはお茶菓子を並べ、家紋さんは敏腕課長の爪研ぎ、昴さんは龍王に餌をやり……。


いつもと変わらない保安課オフィス。


ただ、主任が居ないだけ。

八日には日本を発つ主任は、二日からその日まで東グループ本社ビルに出勤。


忙しいらしくて、夜も帰宅できないみたい。

荷物は昼間時間を見てマンションに整理しに来ていて、私は主任の顔を二日の朝から見てない。


家紋さんの情報では、主任のアメリカ行きは会長命令らしい。


主任と会長には確執がある。

それも家紋さんから聞いた。


「笙の母は病気で亡くなったのですが、会長は会いに来なかったらしいです。母が亡くなった時、病院に迎えに来た東家の使用人に連れられ、笙は東家に行きました」

主任の居ないマンション、二人で夕食を食べながら、家紋さんは教えてくれた。


主任のお母さんは密葬された。
主任はそれに立ち会わせてもらえなかったらしい。

別れも言えず、形見すら貰えなかった。

写真も処分され、母の顔さえはっきりと覚えていない。

「笙は、優しい母だったと言っています」