丸腰デパート・イケメン保安課

「…ありがとう」

受け取った缶コーヒー……冷たっ!!

「ホットじゃないの?!」
寒いからって言ったじゃん!
「寒いと眠くなるからな!眠ったら死ぬ!」
眠気覚まし限定効果かっ!

ムカつくくらい主任らしいなっ!
何なんだよ、ホントに。

仕方なく、私は冷たい缶コーヒーを開けて一口。

…骨の芯まで凍える。
むしろ眠くならないか?


「なぁ、綾美」
「何です?」
隣でタコ焼きのパックを広げてる主任を見た。

「綾美は、俺の事好きか?」
「!!」

コーヒーを吹き出しそうになり、慌てて口を押さえた。

何?!いきなり!しかも改まって!!

「何でそんな質問?!」
「聞いた事なかったからな」

確かに。

聞かれた事は無い、だから答えた事も無い。
主任からの求婚は嫌というほどされてた…でも私、断ってたよね?

「答えてくれたらタコ焼きをやる」
犬か、私は。

主任を好きか……。

わかんないよ、そんなの。

でも、嫌いじゃない。
主任が居ると、いつも通りで馬鹿やってくれていると…安心する。
頼れる所もある。

主任の求婚にも慣れた。
嫌じゃない。

でも、それが恋愛感情なのかと考えると…わかんなくなるんだ。