丸腰デパート・イケメン保安課

「タコ焼き持って来いだって」

タコ焼き…。
公園に居るなら帰って来ればいいのに。

「行ってらっしゃい、桜田さん」
家紋さんが笑う。
行くんだ?私。

行くか…少し気にかかるし。
主任の意味不明さは、今に始まった事じゃないしね。


タコ焼きの袋を手に、マフラーとコートを身につけた私は、主任が居ると言う公園に向かった。







「綾美〜!ここだぞ〜!」

公園に着くと、待ってましたとばかりに主任は手を振って存在アピール。

背高いんだし、振らなくてもわかるって。
大体、私達以外誰もいないじゃん。

訳わからん。


ベンチの前に立つ主任に袋を差し出す。
「はい、タコ焼き」
「桜田二等兵!よくやった!」
誰が二等兵だ。
「敏腕課長に査定の口添えをしておこう」
「別にいいよ」
課長、猫じゃん。

ベンチに座る主任の隣、私も腰を降ろす。
「ほら、綾美」
「何?」

主任がコートのポケットから缶コーヒーを出してきた。
「寒いからな」

白い息を吐きながら、満面の笑顔を見せる主任。
頬も少し赤くて、まるで子供みたい。

こういうトコ、すごくかわいいんだ。

主任には絶対に言わないけど…胸がキュンとなるんだ。