主任が会長と行ってから、6時間過ぎた。
あたしは一人、部屋でテレビを観てる。

盛り上がる正月番組のテンションに、ついていけない自分がいる。


主任が気にかかって仕方がない。


ガチャ―…。


玄関のドアが開く音に、反射的に立ち上がった!

主任?!

「ただ今帰りました」

……家紋さんだ。

リビングに着物姿で現れた家紋さん。
「お土産です。うちの料亭のおせち」
「………あ」

三段重箱をダイニングテーブルに置きながら、家紋さんはうつむく私を見つめる。

「どうかしましたか?笙はどこへ?」
「…………」

無言の私に何かを察したのか、家紋さんは着物の袖に手を入れて腕組み。

「お茶でも飲みますか?」

笑いながら、そう言ってくれた。






「東会長が来たんですか」

ダイニング。

家紋さんが入れてくれた緑茶を飲みながら、私は会長と外出した主任の事を話した。

家紋さんなら、何かわかるんじゃないかと思ったし。
それに……。

「で…桜田さんは笙が心配で仕方がないんですね」
家紋さんは小さく微笑し、緑茶の湯呑みに…砂糖を?

どんな味覚?おいしい?

「心配って言うか…」
「心配でしょう?」