「…………」

やばい…挨拶しなくちゃいけないよね。

会長だし。


「あの…私は…」
「彼女は、去年入った保安課の新入社員です」

私より先に主任が答えてくれた。

新入社員って……。

まぁ、まさか主任んちに間借りしてますとは言えないしねぇ。


「新入社員が入ったとは聞いていたが、女性だったのか」
「桜田綾美と言います」
会長に向かい、慌てて頭を下げた。


会長は、品定めでもするかの様な視線。

ヤバイ…主任との関係を疑われてる?


何にも無いと言うのは白々しいし…ってか新年早々に二人で外出してる時点で疑うよね?親としては。


でも、私に成す術はない。

「桜田くんか…笙とはプライベートでも付き合いが?」

ほらね…。

どうしよう?笑ってごまかす?


「彼女は、保安課の新年会の用意に来てもらったんですよ」

主任?
フォローしてくれた?


そうかと納得する会長。
思わず心中で胸を撫で下ろしたよ!


だって何か…会長怖いっ!!
威圧感って言うか貫禄って言うか!

重い!空気が重い!


「会長、何か俺に用があっていらしたのでは?」


主任もピリピリしてるから余計に重い…。