どっどうしようっ!!

私は主任の後ろに身を隠す!

初めて見た…会長…。

現社長は息子、主任のお兄さんは入社式で遠くから見た事あるけど。

まさか会長に会うとはっ!

マジ慌てる!どうしよう!


「どうなさったのですか?会長がいらっしゃるとは」
主任…何で敬語なんだろ。

父親だよね?

「相変わらずだな、笙」
「お忙しいのでは?」
「忙しくても、息子に会いに来るのはいいだろう」
「一年ぶりですがね」
「お前が家に来ないからだ。電話にも出ないしな」
「あそこは義母と兄さんの家であって、俺の家ではありません。電話に出ないのは、俺も色々と忙しい身ですので。申し訳ありません」

……何か、険悪な雰囲気じゃない?
主任がいつもの主任じゃない。

顔付きも険しくなってるし、声も低くて静かだ。

と言うより、親子って会話じゃないよ?

主任が他人行儀……。


主任は会長の愛人の子供って聞いた。

だから?

だから主任は他人行儀なの?

ううん…他人ってより…冷たく突き放しているみたいに感じる。

まだ、私の知らない事があるのかな。


「笙…そちらの女性は」

身体がビクっとした。
会長が私に気付いた!