「雑煮、食べないの?」
「綾美が作ってくれるのか?!」

うわぁ…主任の瞳がキラキラしてるよ。
いつも私が朝ごはん作るたびに、こんな目を主任は見せる。

そんなに私の料理が嬉しいのかな。

何かかわいいよね?


「作りますよ。で、餅は何個?」
「10個だ!」
「食べ過ぎじゃない?!」
「豚足入りなら6個でいい」
「雑煮に豚足は入れないよっ?!」

どんな雑煮だっ!
餅と一緒に豚の足が浮いてる雑煮なんて嫌だっての!
どこの民族料理なんだ!


「綾美んちの雑煮って何を入れるんだ?」
「私んちですか?普通ですよ?」
「普通って何だ?」
「いえ、普通に…醤油風味の汁で根野菜と肉が入って…三葉を添えて…」

ふぅん…と主任はうなづき、テーブル上のテレビのチャンネルを持った。

…何でそんな事を?


「主任のお宅ではどんな雑煮だったんですか?」
「わからん」
わからん?
「義母が料理をするのは見た事が無いからな」
…義母?


「義母って…?」
「あれ?綾美は知らないか?俺の父親の妻は、俺の実の母ではないんだ」

………え?

「俺の兄の実の母ではあるが」


…………はい?


兄の母で主任の義母?

「それはどういう?」