「デパートの前で段ボールの箱の中で震えていた彼を…見捨てる事はできなかったんですよ」

それは…わかるけど?
私も猫好きだし…でも、いつになったら敏腕課長への過程を説明してくれるんだろう。

私の隣では、栗田さんと貢さん、昴さんがしみじみと語ってるし。


「…大変だったよな?あの時は。連れて来ちゃったの?までは良かったけどさぁ」
「うん、お腹空いたって言うから…みんなで吉野家に連れて行ったんだよね?…そうしたらさぁ…」
「牛丼ツユダク20杯だったな…」


牛丼ツユダク20杯?!
猫は飲食店に入れないんじゃないっ!
いや違うぞっ!それ以前にお腹空いたって言ったのかよっ?!

「せめて30杯くらいはいって欲しかったな」

昴さんっ?!

「分かったでしょう?桜田さん」
「すいませんっ!全く理解不能ですっ!」

納得以前の問題だろうがぁっ!!

「ですから…拾われたんですよ、彼は」
「それは分かりましたけど…」
「敏腕課長に…」


…敏腕課長、に?

「ねぇ?笙」

家紋さんの視線の先には…敏腕課長を右腕に抱えつつ、腰に手を当て笑う主任が…。

「ああっ!そんな時もあったな!」


主任が拾われたのかよっ!!