丸腰デパート・イケメン保安課

お祈り、ちゃんとしないとね。

昴さんは深呼吸をした。
両手をテーブルに置き、手の平を天井に向ける。
それから顔を伏せ、手を頭より上に上げた。


あれ?

キリスト教のお祈りってこんなんだった?


首を傾げる私を他所に、昴さんは祈りの言葉を呟き始める。


「……我らがサタンよ…魔界よりの使者を遣わせ……」
「ちょっと待ったぁっ!!」

その祈り待ってくれ!!

「どうしました?桜田さん、お祈り中ですよ?」
「誰に祈ってました?!今!!」

サタンとか魔界って聞こえたよ!
そんなのに祈られても困るんだけど?!

「主任も聞こえましたよね?サタンって!」
「サタン?ああ…俺もおかしいなと思ったんだ」

え?
主任もおかしいと?


呆然と立ち上がったよ、思わず…。
だってさ、主任の口からおかしいなんて言葉…主任が一番おかしいのに。

「何を驚いているんだ、綾美」
不服そうだ!
「だって主任が…おかしいなんて言うから」
「おかしいからおかしいと言ったまでだ。サタンはおかしい!」

マジですかっ?!

「今夜は降霊会だと言ったはずだ!」
「っ?!聞いてないけど!!」

クリスマスパーティーだって言ったよね?!