丸腰デパート・イケメン保安課

「栗田さん…?」

栗田さんは、ベッドを運び出す主任の背を遠い瞳で追ってるし。

「ジョグレスまで、あと一息っすよ…主任」
ジョグレスって何よ?
その励ましも何なんだよ!

ついて行けない!






ベッドを運んで勢いついたのか、予想外の主任の起動力により、わずか1時間で荷物をトラックに積み終えた。


約3年弱住んだ部屋は、あっという間にさっぱりしてしまった。

玄関前で振り返り、部屋を見渡す。

こうなると何か…郷愁がわいてくるよね。

「さっぱりしたなぁ」
主任が私の隣に立ち、小さくため息をついた。

「ね?住んでた形跡が無くなっちゃった」
「形跡が欲しいのか?」
「欲しい訳じゃないけど…」

ちょっと淋しい。


「形跡ならば、俺は昔何度も見たから作れるぞ?」
「は?」

形跡を作る?

何それ?
そんなの作れるの?

主任は咳ばらいをし、部屋の中を指差した。

「まず、白いテープで倒れている人間を型取る」

倒れている人間の型?

「証拠物には番号の書かれたプレートを置いてだな?壁には赤インクでダイイングメッセージを…」


ちょっと待て!ソレッて…。

「殺人現場じゃ?!」

何考えてんだ!