丸腰デパート・イケメン保安課

「イヴの話っすよ、恒例の」
「ああ!アレか!」
主任が大きくうなづいた。

そのうなづきの意味するアレが、私には怖い!
今までの出来事から予想すると、とんでもない行事に決まってる!

「もうアレの時期か!」
「そうっすよ、アレです」
「千太郎も楽しみにしてるよ、アレ」
「だからアレって何なんだっ!」

あんたらだけで納得すんなよ!

「パーティーですよ、桜田さん」
オーバーヒート寸前の私を、家紋さんの一言が止めた。

パーティー……?


「何のパーティー?」
普通じゃないに決まってる。

「ちょっとさぁ…うたぐり深いんじゃない?綾美ってさぁ」
主任は、肩をすくめてやれやれポーズ…ムカつく。
「だったらアレって何ですか?」

言ってみろよ!疑いかけられたくないなら言えっての!

「ホント、空気読め。綾美」
あんたに言われたくねぇよっ!

堂々と心を読み、プライバシー侵害を犯す主任にだけは!

「クリスマスと言えば、クリスマスパーティーに決まっているだろう!」
「…………は?」

クリスマスパーティー?
と言いました?

――マジでっ?!!

「普通じゃん?!」
「当たり前だっ!」

当たり前かよ!ってか今更普通か!