携帯!!誰かに助けを!!

走りながらバックに手を伸ばし携帯を握る!

えっと、誰に連絡すればいいっ?!
彼氏はいないし、友達も仕事してるし!

保安課のみんな―……主任!!

走りながら主任の携番を検索し、ボタンを押した。

出るかな…飲みに行ってるんだよね!

背後には着いて来る足音!

嫌だよっ!主任!助けてよ!
人間離れしてる主任だもん!何とかしてぇ――!!

[綾美かぃ〜?]
出た!!主任だ!しかもほろ酔い口調だ!
「助けて!!」
電話を持ちながらとにかく叫んだ!
説明できる状況じゃないもん!

[助けて〜?穴に落ちたのかぁ?]
穴?!
「帰り道っ!誰かに追いかけられてる!」
[カンケリか?ポコペンは何回言うルールだ?]

話にならない?!

「助けてよっ!主任!今すぐ来て―――っ!」

足音が聞こえるんだってば!
怖いんだよっ―――!!


「っ!!俺を呼んだか!綾美!!」
「ッ!きゃああっ!!」

叫んだ私は腰を抜かした!!

だって!!主任が突然路地裏から飛び出して来たぁ!
しかもビールジョッキを片手に!

有り得ねぇ――――!!

「駅前の焼き鳥屋ジョージから昴に送ってもらったんだ!」