丸腰デパート・イケメン保安課

言い切って深呼吸をした。
猿股さんは、呆然と私を見てる…話聞いてたのか?

「綾美…俺の為に」
「別に主任の為じゃないよ!」
あんたも話聞いてないのか?!


猿股さんは私から目をそらし、瞳を伏せた。
「………わかった」
「わかったの?!」
大学時代からの恨みをあっさりと!!

「この運動会で、東と正々堂々と勝負し…全て忘れよう」
静かに語る猿股さん。

勝負?それは個人的に勝手にやってくれ。
そこまで面倒見たくないよ。

「だが…一つ条件がある」

条件?

猿股さんは私を見つめた。
そっと…私の手を握りしめてきたんだけど…?!

「俺が東に勝ったら…結婚してくれないか!!」

「……………は?」

………結婚?

「ええぇ―――――!!」

私だけじゃなく、保安課のみんなも同時に叫んでた!

結婚…結婚って!!

大体条件とかにされてもさ!
私は、この二人のいざこざに関係無い人間なんだけど?!

「一目惚れなんだ!」
一目惚れされてもねっ!!

「ちょっと待てぇぇ――!!猿股野郎!!」
主任が怒って立ち上がっちゃったあっ!!
「綾美は俺の婚約者だ!いきなり結婚とは何だぁ!」

あんたも同じ事したじゃん!!