丸腰デパート・イケメン保安課

「…これは?」

一つ一つ、丁寧に作られているお弁当達…かわいい布に包まれて。
「丸腰デパート内と他社の、女性スタッフからの差し入れなんだ」

ああ、そんな感じ。
名指しでカードを添えてあるお弁当もある。
一生懸命作ったんだ。
この人達に食べてもらいたい女心だね。


「読者が、僕達がイケメンだと忘れてる頃なので、ひと魅せしておかないと」

家紋さん…私も忘れてました。


きっと…お弁当を作った彼女達は知らない。
超イケメンの…この人達の普通じゃない思考と中身までは!

知らない方がいい。

彼らの外見に騙されている方が幸せだ。
少なくとも私はそう思う!


「相変わらずチャラチャラしてるなぁ?丸腰デパートの連中」

テントの中で貢さんが入れたコーヒーを飲む私達の前に、数人の他社デパートの選手が現れた。

チャラチャラ?

「毎年、差し入れの弁当に浮かれやがって」

舌打ちをしつつ、歩み寄って来た若い選手。
背が高くて、少しだけ福山雅治に似てるかも。
普通にかっこいい人なんだろう。

普通って思っちゃうのは、保安課のみんなを見慣れているせい?

男性に対する美意識は、確実に磨かれてるね…私。