何しに来たのよ!私達!
朝早く出て4時間かけて!本当、何しに山に…。

「…………」

…思い出した!!

「松茸はっ?!」
松茸狩りに来たんだ!何しにって松茸取りに来たんじゃん!
あまりの予想外トラブル続出に忘れてたよ!!

「そういえば、目的は松茸狩りでしたね?」
「なのに松茸、山に置いて来ちゃったねぇ?」
「おもしろかったからいいんじゃない?」
「よくないよっ!!」

私の松茸!!せっかく取ったのにぃっ!!

ああ…生まれて初めて一本丸ごと食べられると思ったのに…楽しみにしていたのに!
何て事だっ!

「綾美〜」
そんな私の心中等気にもしない主任が、後部座席から甘えた声をかけてくる。
「っ何?!」
ツンと横を向き、ぶっきらぼうに声だけを返した。

元はと言えば主任が、変なキノコ取ったりシェイロン呼ぼうとして山神様呼んだり…松茸狩りを真面目にやらなかったのが原因じゃん!

「はい、綾美にプレゼント」
何?またお菓子?

差し出してきた主任の手の中の物を渋々受け取る。
お菓子なんか食べる気分じゃないんだけど?
私が食べたかったのは松茸だからっ!

「…あれ?」

主任がくれたの、お菓子じゃない…これ…。