丸腰デパート・イケメン保安課

ビュオオォ――ッッ!

強風が私達の上を通り過ぎた。

今…何が飛んで行った?

主任を見た。

主任は…ひねっていた身体を戻し…爽やかな笑顔で…ドラゴンボールを誇らしげにかざして見せた。

「優勝旗は俺の物だ!」
「打ってんじゃねぇぇ――よっ!!」

何してくれてんの?!

「何すんのよぉっ!!馬鹿あ!!」
「ベースボールだ!」
「威張るな!そこの猪を追い払う為に投げたキノコなのに!」
「え?こいつキャッチャーじゃないのか?」
「ある意味そうだけどねっ!!」

口でキノコキャッチをさせるのが希望だったんだっ!!

「…終わった…夏が…」
バロンは両膝を折り、地面へと崩れた。
「やはり俺は…背番号のないエース…」
「落ち込んでる場合?!」
そういう後悔は高校時代にやっとけよ!

「プギィイィ――――!!」
「ッうわっ!!」
「きゃあっ!!」

そんなんやってるうちに、山神様が雄叫びを上げちゃったぁっ!

「ブルルルゥ――ッ!!」
頭を振りつつ、前足を踏み鳴らし始めてるよ!

「覚悟を決めるしかないな…」
「昴さんっ!何を?!」
一体どんな覚悟を決めろと?!


「逃げとく?」

貢さんの言葉に、みんなは顔を見合わせた。