丸腰デパート・イケメン保安課

「わたくし、こう見えても高校時代は野球部のエースピッチャー。甲子園へ行った事もあるすごいおじさんなのです」

すごいおじさん?…変なおじさんじゃ?

「語ると自慢になるので、秘密だったのですが」
すでに自慢してんじゃん。

「さぁ!ボールをわたくしの手に!」

山神様を睨み付けつつ、私達に右手を差し出すバロン。

ゴゴゴゴ――――!!

闘志が漲り溢れ出してる!

家紋さんは私の手から魔利尾茸を取り…バロンの手に預けちゃったんだけど!

「頼みました」
頼んじゃった!!

「お前だけが頼りだ、バロン」
「敬遠は無しだよ!」
「砂じゃなくて、優勝旗を持って帰ろうな!」

もはや甲子園ムードだあ!!
いいの?!それで!
バロンに命預けて?!

「7回裏…2アウト満塁…」
何やらブツブツ言いながら、バロンは魔利尾茸を手にピッチャーの構えを取った。
「涙のサヨナラホームランボォォ―――ルゥ!!」
「ッ!!ホームラン?!」

勝ちたいのか負けたいのかっ?!どっちなんだあ!!

バロンの投球は、すごい速さでまっすぐに山神様へと向かっていく!

「よっしゃ!行けぇ――!」

「サヨナラホームラン!貰ったぁっ!」

…え?!