丸腰デパート・イケメン保安課

は?!桃なんてロープ以上に使えないじゃ……。
桃?…ピーチ?

ひらめいたあぁっ!!

「千太郎くん!桃!使えるかも!」
「何か案があるんですか?桜田さん」
あるよ!あるある!

私は主任の採取籠から、赤い水玉キノコを取った。
「魔利尾茸です!!これを猪に食べさせる事できませんか?」
「山神の口?…食べさせたいんですか?」
「餌付けするの?」
「違う!!」
餌付けしてる余裕ないだろ?!

「魔利尾茸の作用は、桃を求めて止まない…でしたよね?」
「成る程…食べさせて桃に注意をそらさせるんですか」
そう!幸いにも桃あるし!


「でも…どうやって食べさせるの?」

………………。

千太郎くんの言葉に、みんな無言した。
だよね、それが1番難題なんだよね…。

「…投げて、山神様の口にストライクを決めればよろしいんですね?」

まぁ、それが確実にできるならば…。

「って…今の誰?」

「お任せ下さい」

自信満々で立ち上がり、不敵に笑ったのは…バロンじゃん!!

青いジャージの上着を脱ぎ捨てTシャツ姿になったバロンは、タオルを巻き直しつつ私達の前に出て来た。

山神様ぁ〜って平伏してたバロンとは、もはや別人だよ!