丸腰デパート・イケメン保安課

「いけません、みんな動かない様に」

家紋さんと昴さんが、私の前に立ち塞がった。
「猪は臆病ですから。動くと突進してきますよ」
「そうなの?!」

詳しいですね?

「あの猪の大きさは宮崎ワールドだな」
「山神様ってバロンが言ってたよ、パパ」
「じゃあ、ジブリフリークの司さんに任せておけばいいね!」

ジブリフリーク?!家紋さんが?

「任せておきたまえ」
不敵に笑い、眼鏡をかけ直す家紋さん―…。

不安なんですけどっ?!

「昴さん!何とかならない?!」
今なら許す!悪魔を召喚して!
「何とか、か…改めてシェイロンを呼ぶか」
「来ないの証明されましたよね?!ついさっき!」

シェイロンじゃなくて山神様が来たじゃないか!

緊迫感は無いのか!あんたら!

「主任!動かないで下さいね!」
猪がビビるらしいから!

主任は不満そうに顔をしかめた。
「それは無理!」
「動くなって言ってんだよっ!」
「綾美怖〜い!」

怖い?猪よりもか?
私は猪よりも怖いのか?!

「千太郎が持ってるロープとガムテープ、使う?」
「どうやって?!」
貢さんっ!使える距離に近付けないでしょ?!

「じゃあ綾ちゃん、桃は使える?僕のおやつだけど」