丸腰デパート・イケメン保安課

「去年、主任が5階から転落した事あったんだけどさぁ」
「5階?!」

転落って何だぁ?!
しかも5階?!

「覚えてるっすよね?家紋さんも」
「まぁ…」
家紋さんは、本のページをめくりながら返答する。

「万引き犯を追い詰めて、飛び掛かったのはいいがよけられ、非常階段から転落した…事件だな」

よけられたのかよっ?!
…どうせ勢い良く突進したんだろうな。

って違うよねっ!!


「5階から落ちた主任が今生きてる事が不思議なんですけどっ?!」

死ぬだろ?!普通!

「コンクリートが思ったより柔らかかった」
「家紋さん!んな訳ないでしょ?!」

栗田さんは笑ってる。
笑い事?

「あの時、主任ドコ怪我したんっすか?」
「小指の生爪剥がれた…痛かった」

「小指だけかあっ!?!」


普通にリアルに常識的に考えてっ!例え運が良かったとして、そこから100歩譲って考えてもだよ?

5階から落ちて小指って…生爪って…!
死ぬって!!普通は死ぬって!!


「あの時は、本当に死ぬかと思ったよ〜」

……………。

「落ちてく時の景色!走馬灯すら見えたねっ!イヤァ俺、去年は細木〇子流で言うと大殺界ってヤツだったんだな!」