丸腰デパート・イケメン保安課

バロン…男爵…青いジャージにタオル巻きのおっさんが男爵…。

いっそ芋でいいじゃん。

主任はおもしろくなさそうだ。
「誰だ!こいつに貴族の称号を与えたのは!」
実の父親じゃない?

「いいじゃん、主任。俺達は芋じゃなくて、松茸取りに来たんっすから」
確かに栗田さんの言う通りかも。
松茸があるならバロンはどうでもいいよ。

「私もそう思います。男爵と名付けられたのは、私達の生前の出来事だし」
どうでもいいじゃん。
これ以上バロンにこだわってたら、松茸食べられなくなっちゃいそうだもん。

「何?!綾美はこの出来事を無視できるのかぁ?!」
無視?!無視って!
「松茸に関係ない出来事じゃないの!」
「話には起承転結がある!聞かないのか?!」
「聞きたくないしっ!大体主任にソレ任せたら、転結の無いエンドレスストーリーになるだろうがっ!」

実際、幸子の話がそうじゃないか!訳わっかんないし!

「そうだ」
私の隣で昴さんが賛同してうなづいた。っつーか!
すでに背中に大きな籠を背負い、中には敏腕課長がいるんですがっ!

「エンドレスなら松茸狩り、松茸狩りならエンドレスだ」
昴さん…エンドレスの松茸狩りもどうかと…。