丸腰デパート・イケメン保安課

「わたくし、松茸卸し販売業を営んでおります、魚河岸(うおがし)と申します」
ジャージのポケットから名刺を取り出し、主任に渡す魚河岸おじさん。

珍しい名字だな。

主任は、名刺を見つめて眉をひそめている。
さすがの主任も、普通に珍しいとか思うのかな?

「…魚河岸?山人間のくせに魚介類か?」
山人間?!
眉をひそめていた理由はそれ?!

魚河岸さんは笑った。
「よく言われるんですよ」
言われるのか?
「ですが、名前は山っぽい?と自称しております」
ぽい?って…魚河岸さん、あなた何歳?

山っぽい?名前と言われ、思わず名刺を覗き込む。
「魚河岸…男爵?」

男爵っ?!
いや、確かにジャガ芋の品種に違いないが?!

「何が山だ!貴族か?!明らかに詐称だ!」
そこに怒るのか!主任!
「ですが言われてみれば、山に関する名前ではなく…山っぽい?ですね」
「芋だしな。断言していないから詐称ではないぞ?東」
ぽい?家紋さんと昴さんはそこにこだわるか…。

「じゃ、おじさんの名前はバロンなんだね」
「そう!わたくし、そう呼ばれております。いやぁ〜賢いお坊ちゃんだ」
千太郎くんの言葉に魚河岸さん…いや、バロンは感心してるし。