丸腰デパート・イケメン保安課

「はあ〜…死ぬかと思った!」
やれやれと腕で額を拭う主任。

「思った…じゃないよ!ホッと安堵してる場合か!」
貢さん見ろ!栗まみれじゃない!
「だって、三途の川が見えたんだぞ?」
「いっそ渡ってしまえ!」
どうせ甦るんだろうが!

綾美怖〜いと言いながら、主任はコーヒーを一気飲みした。
「で、旅行の話だがな…」
「清々しく話題変えるな!」

見ろ!貢さんを!
スーツに付いた栗を地味に取り、ティッシュの上にまとめてるんだよ?!
主任がやった後始末だよ?!

栗を撤去し終えた貢さんは、切なげにため息を漏らした。
「後でちゃんと食べて下さいね?主任」
…食べさせるのか?
「紙ごとだな!」
ティッシュごと?!

貢さん!それでいいの?!気にしてないの?!

わからない…この人達がわからない!

頭を抱える私の上では、主任が叫ぶ。
「今年の保安課社員旅行はだな…!」

社員旅行…そんなんあるのか…この瞬間から気が重いんだけど。
どうせブートキャンプとでも言うんでしょ?

「松茸狩りだっ!」
ほらぁ!やっぱりブート…え?松茸…?

え――っ!!

「松茸狩り?!」
本当に?!
「ああ!松茸の野郎を狩る!」
人物なの?!