「一生幸子を拝んでれば!」

もう知らないっ!

何となく、のけ者にされた気分!
おもしろくない!

「なぁ〜綾美〜」

デスクに座る私の隣に、主任が立つ。
思わずツンと横を向く。
もう無視してやる。

「今夜、帰り遅くなるかも」
「何で私に断り入れる?!同居してる家紋さんに言ってよ!」
主任が遅い帰りでも、私には関係ないじゃん!

妻じゃないからっ!絶対ないから!

「綾美冷た〜い!」
何が、冷た〜い!だっ!

「仕方ない!今日は俺の後悔の日だしな!」
「…はい?」

後悔?

主任は微笑しながら言った。
見上げる私の頭を、大きな手が優しく撫でる。

「そのうち綾美にも話そうな!」
「………」


…バカ。

そんな事言われたら、私からは絶対に聞けないじゃん。

「主任…臭い」
「臭い?…違う!俺じゃない!」
「手!魚臭いよ!」
「魚…ああ、マグロエキスだ」
マグロエキス?!何か嫌な言い方っ!

「貢!マグロ野郎を頭焼きにしてくれ!」
「ええっ?!今ここで?!」
マグロ頭を抱えつつ、貢さんに無理要求する主任の背を見つめる。

何か…主任が主任らしいならいいか。


そんな風に思える私…成長したよね。

我ながら。