丸腰デパート・イケメン保安課

これが、刑事としての笙が、初めて主導で担当した事件であった。




後日、香奈の協力で犯人の似顔絵が作成された。

黒髪に眼鏡、痩せ型。目が細く唇が薄い。
神経質そうな雰囲気だ。

それでも犯人として見ると悪く見えるから不思議だ。
身長は170センチくらい。服装は、ジーンズに黒っぽいTシャツ。

出来上がった似顔絵をデスクに置き、見つめる笙。
脇から更科が覗き込む。

「あちゃ〜…未成年なんじゃねぇか?面倒だぞ?」
更科は顔をしかめた。

未成年の場合、動きずらい捜査になる。どんな重罪を犯しても法に守られ、顔も公表されない。
「香奈ちゃんだって未成年ですよ。犯人も未成年だからって許される事はない!罪は償わせる!」

それに関しては更科も同意見であった。
更科にも、香奈と同年代くらいの娘がいる。別れた妻と暮らしてはいるが。


似顔絵を参考に、地道な聞き込み捜査に入る。
事件当夜の周辺捜査。似顔絵を見せ、似た人物の手掛かりを捜す。


現場は、公園の中にある林。目撃者もおらず、捜査はなかなか進まなかった。

季節は残暑。
炎天下、徒歩での聞き込み捜査。

「…熱中症でも労災降りるだろうな?」