生活もままならなく、ずたずたになった私たちを、おじいちゃんとおじさんが母を説得して迎えに来たけど、

近所の目を考慮してか、引っ越しは夜逃げのようにひそやかに行われた。

辛うじて残された家具と、勉強机と一緒に荷台に乗せられた私たちを見送るのは星空しかなくて、

何だか、自分が世界でひとりきりになったような恐さに耐えきれなくて、


何も知らず、くうくう寝ている弟の手を、握った。