しかしアランなら…
もしかしたら彼ならロアに笑顔を取り戻せるのではないか…
何の確信もないが、セルマはずっとそう感じていた。
再びアランに目を向けると、採寸の結果なのか、何かを紙にメモしているようだった。
そんなアランを少し離れた所からじっと見つめるロア。
端から見れば、美男美女のお似合いのふたりに見える。
美しいロアに負けないくらい、アランも美しい青年である。
そんなアランに、ロアは淡い恋心を抱いる。
ロア本人が気付いているかはわからないが、セルマは複雑な気持ちだった。
ロアが恋心を抱くという事に対する喜び…
一方、その恋が決して実ることはないという現実に対する嘆き…
ぼんやりと考えていたセルマは、アランが自分の名を呼んでいる事にすら気付かなかった。


