「姫様、アランさんは…いい人です」
セルマはアランが置いていった原画を手に取ると、それをじっと見つめた。
ロアの美しい金の髪と瞳が良く栄えるような、見事な色合いのドレス…
それを見ればどれだけアランがロアを思って描いたのかがよくわかる…
「アランさん、きっと明日もいらっしゃいますよ」
そう言いながらセルマはロアの手をとると、そっと原画を手渡した。
「私に…こんなもの…」
ロアが原画を見ながらポツリと呟いた時、静かな部屋にドアを叩く音が響く。
「私だ。少し…いいか?」
「国王様ッ!!」
慌ててセルマが開けた扉の向こうに立っていたのは、アルヴィンとフェリシアだった。
頭を下げるセルマに、席を外してくれと手で合図をするとふたりは部屋の中へと入っていく。
三人だけの部屋の中に、重苦しい空気が漂っていた…


