アランが見たもの…
それは、ロアの頬を伝う涙だった…
「ッ…」
アランは何も言うことができなかった。
ただ、もしかしたら目の前で眠るこの女性は何か大きな物を抱えているのかもしれない…
そう…思ったのだ。
アランはそっとロアの涙を拭いた。
そして、ポツリと呟いた。
「ロア姫…君は……」
その時、小さな声と同時にロアの長い睫毛がピクリと動いた。
反射的にアランはロアの頬に触れていた手をひいた。
「う…ん…」
しかしロアが目を覚ますことはなく、アランはほっと胸をなで下ろした。
そして、ロアの体にそっと毛布をかけると静かに部屋を後にした。


