相変わらずロアの返事が帰ってくることはない。
ふぅ…
再び大きく息を吐くとアランはドアノブに手をかけゆっくりと回した。
相変わらず鍵はかかっておらずすんなりドアは開いた。
ドアを開けたアランは、いつもロアが座っている窓辺に目を向けた。
「ロア様?」
いつもと違い、ロアは窓辺から外を見ている訳ではなかった。
窓辺に腰を下ろしてはいたものの、両腕を窓際に置きそこに頭を預けている。
(寝ているのか…)
足音をたてないように気をつけながら、アランはゆっくりとロアに近づく。
「ロアさ…」
ロアに声をかけようとそっと手を伸ばしたアランの手が、ロアに触れる直前にピタリと止まった。


