アランが出て行った謁見の間で、アルヴィンは自分が座る椅子の後ろにある扉に向かって声を発した。
「………だ、そうだ」
ガチャリとドアを開けて姿を現したのは、険しい表情を浮かべるセルマだった。
「私は……納得できませんッ!」
ギュッと手を握りしめると、しっかりとした口調でセルマは言った。
あの方はまだロア様の事を何も知らないのに…
ロア様が抱えているものも知らないで…
「私…もう一度アランさんと話しをしてきます」
そう言うと、セルマはパタパタと謁見の間を出て行った。
なぜ彼女がそこまであの男にこだわるのか…
アルヴィンがそんな事を考えていると、セルマと入れ違いになるようにフェリシアが入ってきた。


