運命の恋



アランは、一市民の自分が国の依頼を断るという事に戸惑いを感じていた。



これだけ名誉ある事なのに…



しかし…



アランはロアの姿を思い出していた。



何度話しかけてもロアの口から発せられるのは、出て行ってくれという言葉だけ…



(やはり申し訳ないが、あの姫のためにドレスを仕立てる気になれない)



再びアランはアルヴィンの美しい青い瞳を見つめた。



「……このような名誉ある仕事を頂いてこのような事を申し上げるのは大変無礼な事と承知で申し上げます。
私にロア姫のドレスを仕立てる事はできません」



一瞬、アルヴィンの表情がピクリと動いた。



しかし、アランは負けじと言葉を続けた。



「本当に申し訳ありません」



深々と頭を下げると、アランはそのまま謁見の間を後にした。