アランはこの美しいロアがいったいどれだけ美しい声で答えてくれるのだろうと思っていたが、一向にロアがこちらを向かないのでロアに近づき再び声をかけた。
「あの…」
「出てってください」
突然部屋に響いたロアの声に、初めアランは驚いたがロアの態度に苛立ちを覚え言い返そうとロアに手を伸ばした。
しかし、そんなロアの手をセルマが掴むとアランを部屋の外へ連れ出した。
「どういうおつもりですか?」
苛立ちを露わにしたアランに、セルマは何度も頭を下げた。
「申し訳ありませんッ。姫様はあまり人とお話しをする事を好まない方なので…」
アランはそのまま断って帰ろうと思ったが、目の前で必死に誤るセルマを見て明日再び出直すと告げ城を後にした。


