母を生まれてすぐ亡くしずっと父とふたりで暮らしてきたが、少し前にその父をも亡くした。



それ以来、小さいながらも街一番と称されるまでに店を成長させた。



アランの腕もあるが、その優しく人当たりのいい性格と、すらりと高い背丈と整った顔立ちが自然と人を惹きつけるのだろう。



「さて…」



店に戻ったアランは、店の奥の引き出しから一通の手紙を取り出した。



「どうしようか…」



アランはその美しい銀の髪を縛っている紐を解くと、くしゃりと頭をかいた。



アランの持つ手紙。



それには、アラステア国の王族の印が押されていた。