『もうあの男を城へ入れるな。ロアがなんといっても…だ…』
あの時のアルヴィンの顔…
悪いのはアランでは無いとわかっていながら、この悲しみを怒りとして誰かに向けなければ気が収まらない…そんな顔をしていた。
「どうして泣くの?セルマ…」
そう言いながら、ロアは握られたその手を力なく握りしめた。
そして、同時に思った。
自分を思っていてくれる人達の前で、もう彼の名を口にしてはいけないのだと…
「セルマ…」
ロアはその衰弱しきった体を起きあがらせると、セルマの肩にそっと手を添えた。
「泣かないで」
もう…彼の事は忘れるから…
「泣かないで…」
この日、ロアは自分の中のアランへの気持ちを…心の奥深へと封印した。


